Episode No.3329(20090428)
苦労に臆病

いかに少ない労力で、
必要なことをやり遂げるか?

それは、合理性の追求のようでいて、
人によっては単なる手抜きである。
こと、経験の浅い若い人にとっては、ね。

近道を探すのは悪いことではないだろう。

しかし、
実際に渋滞にはまった経験もないのに、
いきなり裏道のガイドばかり見ていては、
本道を知ることはできない。

本道が何故混むのか、
実際にどんな車が走っているのかを
自分の目で見て知らなければ、
裏道を知る必要性もわからないし、
他人に道の説明も
できるようにはならないだろう。

第一…本に書かれた裏道など、
誰でも知っている道だから、もはや近道ではない。

無駄かどうかは、やってみた後で
判断すればいいことで…
そうした経験を通して近道は自分で探すものだ。

「今日の若い人は、
 技能を磨くということを忘れて、
 無理からに常識のみによる行動をとって、
 出世しようと心がけている者が多いが、
 実際、今日の世の中は、
 そういう平凡人が多すぎて
 困る状態になっている」

こう嘆いたのは阪急の創始者、小林一三翁。

昭和9年(1934)の記述だから
一三翁が阪急電鉄の社長を退き、
会長に就任した翌年、61歳の時の言葉だ。

その頃…75年前の若い人も、
もうとっくにいなくなっているだろうけど、
あいかわらず自信のない若者たちは
マニュアルやメニューにすがることで
失敗から、いや努力から逃れようとしても必死。

その必死さは、あくまでも自分を守るためであり、
任務を遂行することではなくなっている。

せっかく、失敗するチャンスがあるというのに…。

参考文献「私の行き方」小林一三=著 PHP文庫=刊


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