Episode No.3016(20080428)
良心

また嫌な嫌な月末だ。
しかも今月は納税もある。

自分で商売をはじめてからというもの、
銀行のATMはまるで
札束をシュレッダーにかけているような気がする。

とある地方銀行に行った。

幸い他の都市銀行のように
長蛇の列はなかった。

少々手持ちぶさたな感じの
カウンターの女性に手続きを聞いて、
ソファーに腰を下ろそうとした時・・・
わきにあった記入台の上に、
その銀行の封筒が
無造作に放置されていることに気づいた。

ちょっと持ち上げてみると
・・・中に札が入ってる。

パッと持った感じ、20万円くらい。

札をつかむと、
だいたいいくらくらいあるのかは、わかる。
嫌というほど
ちぎっては投げ、してるから、ね。

すぐさまカウンターの女子行員のところへ
封筒を持って行った。
・・・すごく感謝された。

封筒を手にして
女子行員に渡すまで、1〜2秒。

その間・・・
まるで金の亡者・両さんのように
パパパッと頭が働いた。

ここでネコババしても
四方八方に防犯カメラがあるから
・・・すぐバレる。
ならば「いい人」になった方が得だ。

一見、何の躊躇もなく
忘れ物の現金を届けた「いい人」は
・・・実はこんなことを考えていたんだよ。

最も・・・
他人に見えるのは「行動だけ」だけど、ね。