Episode No.1308(20021102):ズレてるだけじゃダメなんだ

学者には変わった人が多いね。

本当は学者の世界でも
数からすればサラリーマン学者の方が多くて
変人学者は少ないから
むしろ話題になるのかもしれないけれどね。

先日、ノーベル物理学賞の受賞が決まった小柴昌俊さんが
50年くらい前に中学の臨時講師をやっていた時作った
試験問題がニュースになってた。

「この世に摩擦がなければどうなるか答えよ」

当然のことながら、みんな必死で答えを書いたが
正解は・・・白紙。
つまり、摩擦がなければ鉛筆で字は書けない、というワケ。

正解者は3名いたらしいけど・・・
わかってて書かなかったのか?
わからなくて書けなかったのか?

当時の生徒たちは、このトンチ問題のおかげで
考える習慣が身についた、と語っているらしいけど
今になって思えば・・・というやつで
何よりノーベル物理学賞学者に教わったことが
自慢だろうね。

ちなみに、今からちょうど109年前の今日、
1893年11月2日には・・・
コレラを「細菌による感染ではない」と主張した
ドイツの衛生学者ペッテンコーファーが
自説を証明するためにコレラ菌を飲んでみせた。

当然、コレラを発病・・・
一命はとりとめたものの学者としての信用は失墜。

ただ、ペッテンコーファーは
コレラの発生を地下水に関係があると考えていたため
下水道の整備に尽くして
都市衛生の功績者としても歴史に名を刻んでいる。

功績がある・・・
というところが、ただの変人と違うところだよね。

世間と歩調を合わせられないだけの
ただの、わがままな人と
自説を信じて追求するものがあった結果、
世間とちょっとズレていた人の差は大きい。

変わってる、と見られるだけで偉人になれたら
世の中、偉人だらけになっちゃうもんなぁ。


参考資料:「歴史の意外なネタ366日」中江克己=著 PHP文庫=刊