Episode No.1171(20020527):社訓は恥さらし

山崎武也著『一流の条件』の第三部・・・
「宇宙的規模で自分を見る」という章に
「社訓は恥さらし」という項目がある。

以前、取材で会ったどこぞの社長も同じようなことを言っていた。
社訓に掲げられたスローガンとか目標は・・・
今その会社ができていないことである場合が多い。

「顧客第一」と書かれている会社は・・・
つまり、しょっちゅう顧客からクレームを言われているような会社。

あまりに当たり前のことを社訓に掲げている会社は
そういう意味で信用がおけない。

昔、笹川良一がCFで
「おとうさん、おかあさんを大切にしよう」
・・・と言っていたが
みんなにそれができていれば、わざわざ口にする必要はないのだ。

自分や他人・・・
とくに退任にできていないことについては
誰もがよくわかる。

だから、スローガンを掲げたり
目標を課したりすることは簡単だ。

本当に問題なのは・・・
どうやったらそれを実践できるか?
伝えたいことを、どうやったら染みいるように伝えられるか?

例えば・・・
「愛情は大切だ」というテーマの映画があったとする。
映画がはじまったとたん、主人公が
「愛情は大切だ」と観客に言ったとしたら
誰も否定はしないだろうが、誰も感動はしない。
けれど、そんなセリフがひと言もなくたって・・・
映画が終わる頃には、たいていの観客が
「愛情は大切だ」と感じて、場合によってはむせび泣く。

合理性を追求する企業は、
そんなこといちいちやっていられない・・・
そうな風に考えてトップが楽をしようとする会社は
社訓を書いた紙が黄ばみきっても
まだ尚、同じことを同じ社員に向けて言わなければならないはめになる。

かくゆう私も・・・
こうして毎日、安直な言葉で、いろいろなことを書いているけれど
ここに書いた内容が少しでも読んでる人にしみることがあるとすれば
それは、その人が実際に体験したことが助けてくれているか
あるいは・・・
何だかんだ言っても、こうして毎日書き続けているという行動が
つたない文章を超えて、何かを伝えているんだろうと思う、な。


参考資料:「一流の条件」山崎武也=著 PHP文庫=刊