Episode No.1152(20020504):真実とリアリティ
医者になった夢をみた。
中年の頑固そうなオヤジが急患で運ばれてくる。
うっすらと意識はあるようだ。
新米の私は、内心ビビッているが
そのことを患者に悟られないよう、
手慣れたふりをしながら聴診器を首にかけた・・・が。
「意識がなくなりそうになった時は、どんな具合でしたか?」
なんて、トボけた質問をして
「意識がなくなりかけてるのに、わかるわけないだろ」
と、言い換えされたりしてる。
ベテランの看護婦にフォローされながら
ようやく診察を済ませる。
その患者は普段から町医者に薬をもらっている。
自分で診察した結果も・・・
とりあえず同じ薬を出すことくらいしかなくて・・・悩む。
同じ薬を出したら・・・きっと、あの患者のことだ。
「これをもらうくらいなら、わざわざ来るんじゃなかった」
と言うに違いない。
「たしかに、なんくせをつける患者もいる。
しかし、それは処理に追われて
大切なことをおざなりにしている我々への
警告かも知れない」
というようなことを先輩薬剤師に言われる。
「医者は薬を選ぶためにいるのか?」
・・・と、私はまた悩む。
ほとんどドラマや映画を観ているような夢を私は時々みる。
最後にクレジットが流れる夢をみることさえある。
手塚治虫のように・・・
医者が医者の話を書く、ということはよくあるけど
割合だ言ったら・・・
やっぱり医者じゃない人が、想像で書いている方が多いんじゃないかな。
それでも読者がリアリティを感じるのは・・・
丹念に調べ上げた成果であると同時に
結局、見ている人が持つ
医者なら医者のイメージに近いからではないだろうか?
外国人が描く日本人のイメージは
ぜんぜんカッコよくないし・・・
どっちかと言うと、かなりマヌケな感じ。
本物はこうだ・・・!
と声を大にして言いたい反面、
どれが本当の日本人だなんて
とてもひとコトでは言えないし・・・
そう見られているんなら、やっぱりそれは現実。
リアリティって・・・
本当のことを意味するんじゃなくて
どう見えるかを意味するのかも知れないな。
とくにドラマが描くリアリティは・・・ね。
本当のことをそのまま描いたら
ドラマじゃなくてドキュメンタリーだもんな。