Episode No.853(20010521):孤独のつかい方

孤独・・・という状況には2種類あって
本当にひとりきりでいるのも孤独なら・・・
集団の中で自分の殻に閉じこもっているのも、また孤独。

見た目の問題はともかく
結局は「自分を理解くれる者がいない」のが・・・いわゆる孤独、なんだろうね。

でも、ある程度の年齢になると・・・
そういう状況は、やっぱり自分が作り上げているんだと思うな。

自分の価値観や優先順位は、コロコロ変えるモンじゃないと思うけど・・・
そいう自分が何を考え、何をしようとしているのかは・・・
放っておいて自然に伝わるモノじゃない。

「さまざまな条件の中で、それぞれ彩りは違うけれど
 人間はみんな孤独なんだ。
 何かの折りに、孤独だなあ、と言いようのない寂しさを噛みしめる。

 人間はみんな孤りで生まれてきたんだし、
 結局は孤りで死んでいくしかない。
 それが常識であるならば、寂しいはずなんかないのに。

 ぼくは、それは人間はひとりだけでは全体になりえないからだと思う。
 個体は完結しているように見える。
 だが実はそうではないんだ」
・・・岡本太郎

いかなる創作活動も・・・人前に作品を出すまでは孤独な作業。
どんな仕事だって・・・
カタチにして提出するまでは孤独に耐えてやるしかない。

例えば、それに耐えきれずに・・・
忙しいなんて言い訳しながら社内の会議に出たとしても
自分の意見すら明確にできない者同士が・・・
お互いにわからないコトを確認し合うだけで・・・作業は一歩も進まない。

それでも進んだとしてら・・・
どこかで誰かが孤独に耐えて、みんなの分、頑張ってくれたんだろう。

うまくいっているように見える人や、自分が憧れる人のようになりたいと思ったら・・・
自分にとって都合のいい部分だけ真似していても・・・決して、そうはなれない。

孤独に弱い人は、つまり・・・
自分を鍛えるのが不得手な人なんだろうね。
でも、他人が認めてくれるのは・・・鍛えた成果だけなんだよ、ね。

遠い目標じゃなくて、目先の目標でいいから・・・
何か明確な行動ができる自分さえつかめれば・・・
孤独もまた、単なるプロセスだというコトに気づく。

それをクリアできないと・・・集団の中で孤独を味わうコトになっちゃうモンな。


参考資料:「芸術は爆発だ/岡本太郎痛快語録」岡本敏子=編著 小学館文庫=刊