Episode No.451(000205):トモダチの輪
それは彼が確か小学校3年か4年の頃・・・。
学校の帰り道、友達とふざけながら歩いていると、道ばたの電柱の上から斜めに出ているワイヤーにぶつかった。
今はあまり見かけなくなった・・・電柱から地面に張られたワイヤー。
その後、は事故防止のために黄色いプラスチックに覆われたコトもあるが、彼が子供の頃にはまだなかった。
ワイヤーの結び目は、非情にも彼の片目を突き刺し・・・失明。
長い闘病生活のおかげで、とくに算数の勉強は遅れをとることとなり・・・。
彼の夢であった船舶通信技師への夢は事実上、この時に絶たれてしまった。
闘病中、無線に興味があった彼の心を癒したのは、ラジオ放送。
彼が住んでいた九州・福岡では、中国語やロシア語の放送も聴くことができた。
国内の放送に飽きた彼は、やがて意味もわからぬ外国語放送に熱中する。
そして生まれたのが・・・四カ国語国際親善麻雀という一風変わった芸。
彼の名は森田一義・・・後にタモリと呼ばれる男である。
最近はサングラスが定番となったタモリも、デビューの頃はアイパッチがトレードマーク。
その裏側には、こんなエピソードがあった。
早稲田大学哲学科を中退後、保険の勧誘員からボーリング場の支配人まで、あらゆる職業を転々としたタモリは、飲んで盛り上がっている席で偶然、ジャズピアニストの山下洋輔と出会う。
福岡に面白いヤツがいる・・・という話を山下から聞いた無類の面白いモノ好きの赤塚不二夫は、タモリを福岡から呼び寄せ、宴会の盛り上げ役に抜擢。
やがて、テレビ放送された「赤塚不二夫の漫画ができるまで」という番組のクライマックスで、赤塚不二夫とパカボンのパパの結婚式シーンに牧師役としてタモリを登場させた。
その番組をたまたま見ていた黒柳徹子は、あまりの面白さにすぐにテレビ局に電話をかけ
「今の面白い人、いったい誰?」と赤塚に尋ねたという。
どんなコトでも活かしようによっては人生を大きく変える武器になる。
あいかわらず友達とふざけている、その性格だけは・・・大きく変わってはいないようだけど、ね。