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Episode No.131(990127):20世紀の終末

1月25日、俳優の三木のり平さんが他界された。74歳だった。

三木のり平と言えば、日本の喜劇を支えた俳優のひとりだが、舞台、サーカスの演出なども手がけた才人。
お茶の間では、何と言っても"桃屋"のアニメCMでお馴染みだった。

"桃屋"のCMが登場したのは、テレビ創世記の昭和33年。長島が巨人に入団し、東京タワーが完成した年のことだ。
以来、40年以上、のり平のキャラクターは時代に合わせたシチュエーションでお茶の間を楽しませた。

通常、アニメーションは、できあがったフィルムに合わせて声を吹き込むのが普通だが、このCMに関しては"まず、のり平の声ありき"で、声に合わせてアニメを制作していたらしい。
しかも、あの似顔絵のキャラクターは、もともと、のり平自身が描いたものだった。

それにしても、一昨年から今年にかけて、日本映画はかけがいのない重鎮たちを失っている。
伊丹十三、三船敏郎、黒澤 明、淀川長治、太宰久雄、木下恵介・・・。芦田伸介が他界したのは、今月9日のことだった。

あきらかに、ひとつの時代が終わりを告げようとしているのを感じるのは私だけではないだろう。

昨年、映画館に足を運んだ人の数は、12年ぶりに1億5,000万人を越えたと言うが、『タイタニック』人気に支えられた部分は大きい。
日本映画界にも新風を巻き起こす新しい作家が登場はしているものの、正直言ってテレビドラマと区別がつかない感じがしてしまう。あえて映画館で観なくても・・・という。
何もスペクタクルだけが大画面向けとは決して思わないのだが・・・。

今、郵政省では"20世紀のデザイン切手"の絵柄を一般に募集している。
石原裕次郎や美空ひばりなど、時代を代表する人物や"まちこ巻き"などの風俗まで、幅広い候補が上がっているという。
20世紀は、確かに"国民的"なモノが多かった。選び出すのも、ひと苦労だろう。

来るべき21世紀を担うべき我々も精進しないと・・・ね。


参考資料:1月26日のニュース ほか

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