Episode No.325(990910):発明は身近な人への思いやりからはじまる 「世の中には多くの愛すべき女性がいる。 しかし完全な女性は、ひとりもいない」 フランスの詩人、ヴィクトル・ユーゴーの言葉だ。 何もこれは、女性に対してだけでなく、男性に対しても言えるコトだとは思う。 が、男性の場合は、完全に近づけば近づくほどエライと思われる一方、女性の場合にはイヤがられることはあるかもしれない。 おっちょこちょいな女性を見て「可愛い」と思えるか「バカ」だと思うかは、好みや相性の問題。 女性の側からしても、同じ冗談を言われても「まったくぅ」で済む相手もいれば「セクハラだ」と真剣に目をつり上げる相手もいるコトだろう。 1920年、アメリカはニュージャージー州。 ここに1組の新婚カップルがいた。 夫の名前は、アール・ディクソンという。 アールは自分が築いた家庭のために、毎日懸命に働いた。 まぁ、ここまでは、ごく当たり前のハナシ。 ただ、ひとつ、世間の新婚と違っていたのは、奥様は魔女・・・じゃなくて、度を超えたおっちょこちょいだった。 新妻の心境として、毎日懸命に働いて帰って来る愛する夫においしい手料理を食べさせたい・・・という気持ちはわかる。 しかし、アールの妻の場合は、それを成し遂げるまでに、料理中に火傷や切り傷が耐えない毎日。 夫としても気が気ではないのだが、かと言って勤め人である夫にその代わりはできない。 まして、彼女の気持ちを考えれば・・・。 そこでアールが、せめてもの対策として用意したのが、絆創膏の中央に小さく切った綿とガーゼをのせたモノ。 これさえあれば、自分の留守中に妻がケガをしても、すぐに手当ができる。 そう! これがバンドエイドの誕生の秘密である。 アールが勤めていた先は、ジョンソン&ジョンソン。 社長のジェイムス・ジョンソンは、愛妻家の社員が作った特性の絆創膏を即商品化した。 そういえば、手術用のゴム手袋を発明した外科医も恋人の看護婦のために考案したと言うし、本田宗一郎の原付も奥さんの買い出しのために・・・。 カミさん思いの男は成功する・・・なんて結論で終わると、ウチのカミさんに何か言われそう・・・だな。
参考資料:「なんでも第一号」びっくりデータ情報部=編 青春出版社=刊 「格言の花束」堀 秀彦=編 現代教養文庫=刊 ほか
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