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Episode No.295(990806):子供にはコワイ話を聞かせろ?

ご承知の通り、最近「童話」というモノに興味が出てきて、本屋でもよく童話や絵本のコーナーを見る。

薄いクセに結構、値がはるんだよね、童話の本って。
装丁がシッカリしてるからなぁ・・・そのせいもあるか。

で、気づいたのが「童話」のウラ話的な解説本が、このところずい分出ていること。
これは、きっと「磯野家の謎」にはじまる漫画などの話を現実的に検証するオタク本というか、マニア本の流れ・・・だろう。

何冊か買ってみた。
まだ、全部は読み切れていないが、ちょっとショッキングな話に出くわしたので、早速紹介してみようと思う。

お題は
ディズニー・アニメでも知られる「白雪姫」。
原作は、知っての通りグリム童話だ。

自分より美しいのが許せないということで、継母である妃に殺されそうになり、森へ逃げ込んだ白雪姫は7人の小人と出逢って暮らす。

実は初版では、この「継母」は「実の母親」ということになっている。
実際、グリム兄弟が生きていた1800年代初頭のヨーロッパでは、貧困による「口べらし」があったという。
ただ、あまりにも残酷ということで「実の母」は「継母」に置き換えられた・・・というワケ。

残酷なのは、それだけではない。
19世紀のドイツでは、人の肉を食べると、その人の特性を持つことができると信じられていたため、原作では妃は実の子の肉を食べようとさえしている。

白雪姫が生きていることを知った妃は、老婆に化けて白雪姫に毒リンゴを食べさせる。
で、王子さまが現れてキスをして生き返り、結婚して、めでたし、めでたし。

が、
浦島太郎と同様、原作はここで終わってはいない。

王子と白雪姫の結婚式に招かれた妃は、何度殺そうとしても死ななかった白雪姫に恐怖を感じていた。
けれども本当に生きているのかどうか、どうしても確かめたくなり結婚式に向かう。

式場に用意されていたのは、焼けた鉄の靴。
これは当時、魔女裁判に使われた拷問の道具だ。

家来たちに取り押さえられた妃は、強引にその焼けた靴を履かされて、死ぬまで踊らされた。
それを見ながら白雪姫はニッコリと笑った・・・だって。

子供向けの童話は、実際には残酷性にあふれているモノが多い。
オオカミは、やたらと腹を割かれるしね。

目の前に迫る恐怖とは違い、コワイ話を聞いた時に感じる恐怖は、人間の想像力を刺激する。
自分のことだけでなく、相手の身になって考える・・・というのも想像力。

言語学者であるグリム兄弟は、ひょっとしたらそこまで考えていたのかもしれない。
だけど商売としては、可愛くて夢のある話の方がいいんだろうな・・・きっと。


参考資料:「童話ってホントは残酷」三浦佑之=監修 二見書房=刊

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