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Episode No.065：ディズニー兄弟の親孝行
チャールズ・チャップリンとウォルト・ディズニーには共通点がある。
世界中の人々に夢をあたえる数多くの作品を創り出したという点はもちろんだが、たとえ仕事がうまくいっていない時でも彼らの才能を信じ、彼らを陰で支えていたのは、いずれも兄であった。
チャップリンの場合は、4歳年上のシドニイ。
ディズニーの場合は、8歳年上のロイ。
そして、彼ら兄弟は大変、親孝行な息子たちでもあった。
『白雪姫』の大成功で、大きなスタジオを新築することになったディズニー兄弟は、その現場監督を元大工の父、イライアス・ディズニーに任せることにした。
その前年、ガス中毒による事故で最愛の妻を失い意気消沈している父に、少しでも元気を取り戻してもらいたいという気持ちが2人にはあった。
イライアスは2人の気持ちに応えるように、80歳という年齢にもかかわらず、自ら釘打ちまでしてせっせと働いた。
しかし、工事が進み、巨大なスタジオの全貌が見えてくるようになると、父は心配そうな顔で息子に尋ねた。
「ウォルター、おまえの漫画でこんなにでっかい会社をどうやって支えていくんだい? つぶれちまうかもしれないのに、おまえ、こわくないのかい?」
ウォルトは答えた。
「そうだな、もし失敗してもね、父さん、始末は簡単につくと思うよ。ここはなにしろ広いからね。長い廊下に部屋がいっぱいついててさ。だからもし、漫画で失敗して文無しになったら、いつでも病院として売れるよ」
父は、これを聞いてホッと胸をなでおろし、また大工仕事に精を出したという。
完成したスタジオから、最初に世に送りだされた作品は"星に願いを"のテーマ曲で知られる『ピノキオ』だった。 |
