自動皿洗い機は、独身時代に買ったものなので、もう10年近くもウチの台所にあることになる。
汚れた食器類を放り込んで、洗剤をセットする。
温水が回転しながら噴き出して洗い終わると、続いてすすぎ、最後に温風乾燥・・・。
所要時間は1時間半あまり。
手洗いすれば10分で済むところだが、それでもひとり身の頃には、結構、重宝していた。
出がけにセットしておけば、キレイになったから・・・ね。
今は動いているところをまず見ることはない。
カミさんも忙しいというわりには、まったく使おうとしない。
何故なのか??
自動織機洗い機が発明されたのは、なんと今から113年も前、1886年のこと。
発明者はアメリカ人、ジョセフィーン・コクランという女性。
家事に追われる主婦の発明・・・と思っては早合点。
コクランは、使用人を何人も抱える政治家の妻で、自分で家事などすることはなかった。
彼女が自動食器洗い機を開発しようと思い立ったのは、自宅で頻繁に催された晩餐会の度に、使用人たちが高価な食器を割ってしまうためだった。
コクランが発明した自動食器洗い機は、非常に単純なモノであったが、基本的な構造は今と変わらない。
1886年のシカゴ万博に出品された、この自動織機洗い機は、ホテルやレストランなどに瞬く間に普及した。
が、コクランが当初想像した通り、家庭で使われるようになるのは、それから65年近くがたった1950年代に入ってらからのこと。
理由のひとつは、1900年代はじめの時点では、一般家庭に大型の給湯器がなかったこと。
そして、家事を知らないコクランが考えるほど、一般の主婦は、食器洗いを大変な作業とは思ってないかった・・・ということだ。
1915年の調査では、疲れた一日を終えるのに食器洗いは、むしろいい気晴らしになる・・・と答えた主婦が大多数を占めていたという。
戦後ようやく、女性が自分の仕事を家事以外にも求めるようになって、アメリカでは家庭にも自動食器洗い機が普及したと言うが・・・。
私が10年ほど前に買った自動食器洗い機の値段は、確か5万円くらい。
今、電気屋をのぞいても、値段はたいして変わらない。
数年前に1枚1万円近くしたCD-Rのメディアが、今や1枚200円を切っているというのに。
日本では、戦後半世紀以上を過ぎても、まだ普及している様子は感じられないが、あなたのご家庭では?