Episode No.1470(20030510)
素人と玄人

昔、一緒に仕事をしたカメラマンが
ファインダーを覗いて・・・
「あ、あの後ろ、ちょっとよけて」と
指示を出した。

すぐわきに立っていた私は
一瞬、何のことかと思ったが・・・
確かに、そこには余計なものがあった。

「カメラマンと言うからには
 ファインダーに入っているもの
 すべてが見えないとダメなんですよ」

そのカメラマンは、そう言って胸を張った。

さらに商業カメラマンとして生きていくためには
印刷の知識も必要だし・・・
最近はパソコンの知識もないと仕事にならない。

感性だけでできる仕事などないんだ。

売り物になるのは“知識”や“経験”であり
その“知識”や“経験”に裏付けられた
・・・“技術”である。

ここを変えればもっと良くなる。
・・・なんていうことは素人でも言えるが、
そこを変えたら他がどういう影響を受けるのか
そこまで考慮できないと物事をカタチにはできない。

表現だけでなく、
組織の動かし方・・・人間の構成も同じ。

カタチにならないものを
買ってくれる人などいないでしょ。

既成の“知識”や“経験”をひっくり返す
まったく新しいものを売りにしようと思ったら
“知識”や“経験”をまず知らないとね。
知らないものを越えるなんてことはできないわけで
それが、できたつもりでいるのなら
・・・やっぱり知らないだけだよ。

感性だけでやりたかったら
趣味と割り切ることだと思う。

技術をマスターするのが億劫だったら
代わりに自分の時間を売って金にするしかない。

素人が成功するのは夢だけど・・・
それだけでは宝クジを当てようとするのと
何ら変わりはない。

芸術家なら10代の汚れなき完成だけで
成功することもあるかもしれないけれど・・・
すでに30代、40代になっていたら
10代と同じ期待をしていてもダメ。

もう素人のまま成功はできないんだから
とりあえず何かのプロになっていないと、ね。

足場がシッカリしていなければ
・・・ジャンプなんかできない、でしょ?


参考資料:話を聞いてもらえる人にならないと・・・