東京生まれの自分には、
ほぼ故郷感というものがない。

昔住んでいた辺りに行く機会があれば、
確かに懐かしくはあるのだが…。

戻りたいとも思わないどころか、
何故だか落ち着かない感じさえしてしまう。

父親は次男で上京して仕事に就き、
結婚し、やがて自分が生まれた。

その後、横浜へ越したから、
今や東京には
自分が生まれた家もなければ、
親戚縁者がいるわけでもない。

祖先のDNAが育てた土地には、
お盆でなくても、
何か不思議なエネルギーを感じることがある。

２年ほど前から、休みとなれば
伊豆下田をぶらつくことが日常になっているが、
伊豆にだって親戚縁者がいるわけではない。

けれど…何故か落ち着く。

時計を見ないでも何ひとつ焦らず
過ごせる時間がそこにはある。

今や下田にはたくさんの友人ができたが、
他の地方から移り住んだ者も少なくない。

自分がそうなるかどうかは別として…
ある友人から興味深い話を聞いた。

何となく下田が気に入って、
とうとう移り住んでから、
お婆ちゃんだが、曾ばあちゃんだかが、
下田の出身であることを知った…という話。

自分にも何かそういう
見えない力が働いているのではないか
…と感じることも少なくない。

年をとって、
自分に力がなくなってくると、
ついついそんなスピリチュアルなことを
信じたくなる傾向はある。

けれど、
出来すぎた不思議な偶然
…というのは確かにあって、
それは想像をはるかに超えている。

自分も故郷を掘り当ててみたいものだ。

だから…人生、日々更新。

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