時の宿命
Fate of time.

のんびりしているのは、
年寄りじゃなくて、若者の方だな。
のんびりと言うより、
結果、
的確性に欠けているだけなんだろうけれど。

勢いばかりの若者に比べ、
年寄りは動きは遅いが、
見たいものしか見ない。

あるいは見たくないものは、すぐ忘れる。

先の見えた年寄りにとって、
無駄の多い若者の動きを見るのは、
相当な苛立ちを感ずることだろう。

自分の身体が
若い時のようには動かないことも
相まって…。

けれど、
そのペースが決定的に違い、
そうした季節を通り越さないことには、
一足飛びに
実を付けることなどできはしない。

自分が未熟だった頃のことは、
もちろん、もうとっくに忘れている。

見事に実った成果を
いち早く眼にしたいだろうけれど…
なかなか、そうはいかないのが宇宙の法則。

仮に
たわわに実った果実を眼にできたとしても、
次の瞬間から落ち始めることに
危惧をはじめなければならないのが
…時の宿命というものだな。

先日、徳川家康と
家康が外交顧問にしたイギリス人漂流者、
三浦按針こと、ウイリアム・アダムスとの
友情を描いた芝居をDVDで観た。

引退したものの、後世が気がかりで、
後継に、こと細かに指図していた家康だが、
最期にたどり着いた境地が、
実にうまく描かれていたと思う。

「後のことは、
　あやつが何とかするであろう。
　たとえ、何とかできずとも、
　もはや、わしにも何ともできんがの」

だから…人生、日々更新。