百貨店
Department store.

そりゃあ、若い頃には
渋谷だ、新宿だ、に
用もないのに出かけて行って、
金もないから、ひたすら
デパートみたいなところを
ウロウロしていたこともないではない。

ただ…
ファッションに興味があるわけでは
なかったから、すぐ飽きたけど、ね。

最近は、年相応に
すっかり歴史散策が楽しくなってしまい、
商店街などあろうものなら、
たとえシャッターが閉まってても歩きたくなる。

今にも倒れそうなくらい古びた家屋などあれば、
雑草の中に
四つ葉のクローバーを見つけたかの如く、
しげしげと眺め回す。

そういう時代を超越した
映画のセットみたいな場所が好きなんだ。

端から見れば、
柄の悪そうな地上げ屋が
物件探しをしているように見えるだろう。

最も景気の回復も
今ひとつパーッとはしないから、
地上げしてくれるなら、
してほしいと思う人の方が多いかもしれない。

さて、百貨店の面白さ、つまらなさは…
店に一歩入るとわかってしまう。

そこでイメージが悪ければ、
もう中も一緒…という感じがするし、
たいていはその通りだからだ。

ところが商店街には宝が眠っている。

入口は朽ちていても、
突然、何か謂われのありそうな
店やお稲荷さんがデンと構えていたりするから。

デパートやショッピングモールの店々は、
綺麗にデコレーションをしていても、
いわば工業製品のように感じられる。

対して、古びた商店街は、
ひとつ一つが手作りのように思えるのだ。

蒸し暑くなってくると、
おもてを歩き回るより、
涼しい建物の中を移動する方が、
はるかに楽には違いないけれど…
楽して手に入れたものってのは
…愛着がわかないんだよね。

だから…人生、日々更新。