昔何かで読んだ記憶があるのだが…

宇宙人に誘拐されて記憶を消された
…と主張する人たちのうち、
１割か２割は、本当に
常識では説明できない経験があるらしいけど、
残りの８割、９割の人たちには…
記憶から消したい経験があったらしい。

記憶から消したい経験
…それは親から受けた虐待だ。

愛すべき親が悪魔に見えるようなことは、
たとえ子供でも認めたくはない。
故に、無意識のうちに、
防衛本能が働いて…記憶を消してしまう。

忘れることは、場合によっては救いであるとは思う。

母親が産みの苦しみをいつまでも引きずっていたら
…二人目、三人目など、とても産めないだろう。

もし、年寄りが物忘れをしなかったら…
死別した人たちとの悲しい記憶で
生涯ふさぎ込んでいなければならない。

記憶は財産だと思うけれど…
財産なだけに持ち続けるのは結構辛いものだ。

忘れることに慣れてしまった人は、
そういう意味では辛くはないだろうし…
辛ささえ、すぐに忘れてしまうかもしれないが、
…それは決して楽天的なのではなく、
立ち上げる度に
ソフトをインストールしなければならないＰＣのように、
いくら懸命に働いていても、なかなか人の役には立てない。

…本当に悲しいのは、
自分が何かをされることじゃなく、
自分が何もできないこと…じゃないか？

記憶すること…じゃなく
記憶されること…を、人は最期に望む。

過去を消そうとすること自体、後ろ向きじゃないか。

せっかくこうして
刻一刻と過去から遠ざかっているというのに
…もっと前向きに新しい思い出を作り出せ。