連休に入る直前…。
4月29日の「昭和の日」は事務所に出たが、
帰りがけ、底をついた酒の買うために
近所にある格安の業務用スーパーに寄った。
普段なら休日は
駐車場に長い列ができているのだが、
大型連休初日にあたっているせいか、
新興住宅地の一角は意外にも空いている。
ここには共用の駐車場をはさんで、
お目当ての酒
…と、いってもコンビニでも変える銘柄ではあるが、
ただ安く買られている業務用スーパーと本屋がある。
重たい酒瓶を抱え込む前に、
まずは本屋に入ってみた。
別に買いたい本があるわけではない。
しかし必ず何か興味をそそる本を見つけてしまうのが、
amazonでは味わうことのできない醍醐味である。
最も近年のネット通販は、
関連情報が続々と表示されて、
まるで蟻地獄のように買い物を続けてしまうよう
綿密に仕組まれているから、
何も偶然の出逢いというものも、
本屋に限ったことでもないだろう。
それでも、モニタからは刺激されることのない、
新しい印刷物のインクの香りが購買意欲をそそる。
本に限らず…もはや、店頭に足を運ばせるには、
視覚や聴覚以外に訴える何かが必要かもしれないね。
映画館では3Dが大流行だが、
これもまたすぐに
家庭内のモニタで実現可能になるだろう。
すると映画館は…やはり大画面を武器にするしかない。
香り付きの映画というのも、かつて実験されたように聞く。
香りを封じ込める技術も発達して、
スーパーでカレーの香りを漂わせると、
カレーの材料がよく売れるらしい。
ところが香りというやつは、
ひと度漂わせると、すぐには消えてくれない。
映画で場面が変わっても、
前のシーンの香りが残っていたら、
チクバクなことになってしまう。
新しいインクの香りに誘われて
予定外の買い物を済ませると、
一旦車に荷物を載せて、反対側のスーパーに向かう。
スーパーの前には、いつものように
軽自動車から煙突を付きだした焼鳥屋が、
これでもかとでも言うように、いい香りを漂わせている。
何度かその誘惑に負けて、買って帰るも…
冷めた焼き鳥を電子レンジにかけても、
あの旨そうな香りが再現できず毎度落胆してしまうのだ。