Episode No.3450(20090916):
厄介者と嫌われ者
厄介者と嫌われ者は
一見似ているようでいて…
厄介者と嫌われ者の差は大きいな。
誰でも知ってる厄介者の代表格といえば
「男はつらいよ」の寅さんだけど、
寅さんは、まわりのみんなに愛されてるから、ね。
愛しているからこそ厄介という気持ちになれる。
それは寅さんに限らず、
恋人にだって惚れた弱みもあるし、
酒好きにとって酒は一番厄介なものだろう。
落語にもあったな、「まんじゅう怖い」。
「こち亀」の主人公・両さんも、
いつも部長に怒鳴られてばかりいる警視庁の厄介者。
ドラマ版の脚本を担当しているマギーさんが
原作者の秋本先生と対談している記事を読んだ。
両さんのやっていることは、ほとんど犯罪だし、
ともするとただの悪人になっちゃう。
それをみんなに愛されるキャラクターとして描くのに
大変な苦労を感じたらしい。
人を落とし入れる悪者は、社会の嫌われ者。
まわりの人たちを落とし入れて金儲けに走る両さんも、
そういう点では同じはずだ。
なのに何故、嫌われ者ではなく人気者なのか?
嫌われ者が決定的に嫌われる大きな理由は
…自分の非を認めない自分勝手さにあると思う。
言い訳に詰まって逃げ出す両さんは
「しょうがない奴」で「懲りない奴」だけど、
怒鳴られれば素直に謝る。
自分の意見を受け入れない側がどうかしている
…などという斜に構えた態度は決してとらない。
だから…仲間でいられるのだ。
価値観の違いはあって当然だが、
自分を正当化するあまり人に嫌われてしまったのでは、
何も成就できない。
他人に媚びを売ってばかりいても
同じように嫌われてしまうが…
正当化するのも
媚びることによって自分の居場所を作ろうとするのも、
結局過ぎたる自分可愛さ=過剰な防衛本能であって、
協調性に欠けていることに変わりはない。
その点…寅さんも両さんも
最後は誰かのために汗と涙を流してるから、ね。