Episode No.3200(20081128)
狂気と勇気

先日話題にさせてもらった
脳科学者の茂木健一郎氏と私は
同じ歳だ。

同じ歳だというだけで、
もちろん一面識もないけれど、ね。

今、世間を騒がせている
厚生省事務次官連続殺傷事件の被告も
・・・学年は違うみたいだが、同じ歳。

同じ歳の人間など
世の中には何万人もいるのだから、
ひとっくくりにして論じること自体
ナンセンスなのかもしれないけれど・・・
そこには同じ時代を生きた者としての、
ある種の共通点がある。

むろん、殺人犯に共感など、
できるはずもないのだが・・・
正直な話、
ある部分では理解できないこともない。

昔「TATOO<刺青>あり」という映画があった。

監督は高橋判明、主演は宇崎竜童
実際にあった銀行強盗の話だ。
犯人は立てこもった銀行で
警察によって射殺された。

この映画についてのインタビューで
高橋判明監督は、同年代の犯人について
一種の親近感を覚えて作ったというようなことを
言っていたように記憶している。

同じような大志を抱きつつも・・・
社会との折り合いが付けられずに
二進も三進もいかなくなって事件を起こす。

それはひょっとしたら
誰の胸の中にも秘められている狂気で、
ちょっとした針の揺れが人生を狂わせている。

それまで自分が考えてきたこと、
やってきたことを捨てて、
社会に溶け込むことができなかった
人間の狂気は・・・
男なら仮想敵を見つけて攻撃することで、
女なら自分の子供に手をかける
・・・といったカタチで現れているように思う。

そこに巻き込まれた人間は
たまったものではないが・・・
いずれも社会から、
いや自分を生き方を通すための
・・・いわば自決に違いない。

そのちょっとした針の揺れを
どう調整していけばいいのか・・・?

答えのひとつは・・・
それまで自分がやらなかったことに
挑戦してみることにあると思う。

苦手だと逃げてきたことをやってみる。

文系なら理系の勉強を。
家にこもりがちならスポーツや旅行を。

そんな中から
別の自分や他人が見えてくる。

そして・・・
そういう挑戦をするのに必要なのが
・・・勇気だと思う。

自分が思った通りのことをやるのに
勇気なんか・・・いらないし、ね。

勇気なしで生きていける場所など、
存在しないということを知るべきだろう。