Episode No.3184(20081110)
淘汰

今からちょうど10年前の平成10年当時・・・
「2010年までに日本の物価は半分になる」
・・・と予言し、またそれを実行しようとした男がいた。

かつて「価格破壊」という言葉を世間に浸透させ、
日本最大級の流企業、ダイエーを築き上げた
・・・中内功である。

しかし、中内自身は
「価格破壊」という言葉を嫌っていて、
価格の「正常化」だと言い張った。

そのうえで、物の価格を半分に抑えれば、
50兆円規模の新しいマーケットができる
・・・と試算し、そこに突き進んだが、
その後は、ニーズの多様化で赤字に転落

息子に跡を継がせたい一心のワンマン人事により
社内の不協和音も高まり、
2001年に勇退し、完全にダイエーと決別した。

中内が予言した2010年まで、
あと2年と迫った今。
世界的な不況のあおりを受けて、
50兆円規模の新しいマーケットどころか
・・・庶民のサイフの紐は固くなる一方だ。

中内功の予言は完全にはずれたのか?

発言された頃には荒唐無稽と思われていたが、
まさに現代を言い当てているような言葉もある。

「メーカーは私が考えるところ
 だいたい4社体制になってきます。
 自動車メーカーから証券業から全部、
 テレビ局も4社、出版社も4社になります」

参考文献「中内功語録」中内功研究会=編/小学館文庫=刊