Episode No.3048(20080604)
便所の落書き

今読んでいる本に、
こんな一説があった・・・

2ちゃんねるのような巨大な匿名の掲示板。
それがトイレの落書きに等しい書き込みであっても、
それは自分に気づいて欲しいという切ない心の声だ。

・・・確かにそうだ。
ポケベル、ケータイ、そしてネット、ブログ・・・
急速に普及した新しい技術の向こうには
必ず「人」がいる。
ゲームだって対戦の方が楽しいだろう。

もう30年くらい前の話だけど・・・
駅のトイレにくだらない落書きをした。

忘れた頃に、また同じトイレに入ると
・・・なんと、その落書きに「返信」がされていた。

また、しばらくすると「返信」の「返信」が・・・
トイレの壁の一部は
ツリー構造の書き込み状態になってしまった。

まぁ・・・公共の場所での落書きは
良くないことだけど、ね。

自分と同じようなことを考えている人が
自分の知らないところにもいる、と知ることは
実に楽しいし、励みにもなる。

自分独自の個性を守りたい一方・・・
同じ考え、趣味趣向、
価値観をもった人がいないと自信が持てない。
・・・それが「人」。

自分に似た子供は可愛いし、
人の形をしている人形は捨てづらい。

種を守ろうとする本能かな・・・これは。

こういう、つぶやきに近い文章は、
ほとんど便所の落書きだけど・・・
それを見て安心する人も
・・・いてくれるのかも知れない。

参考文献「著作権という魔物」岩戸佐智夫=著 アスキー新書=刊