Episode No.2995(20080403)
黙読社会

爆笑問題のお2人が
名物教授の訪ねるNHKの番組を見た。

夕べ登場したのは
編集工学の松岡教授。

編集工学とは少々耳慣れない学問だが、
本や雑誌にかかわらず、
インプットしたものが
アウトプットされる時に
決してインプットした通りにはならない、
そのズレについて探求する学問らしい。

その話もなかなか興味深かったのだが・・・
今の私が見ている部分に
最もフィットしたのが・・・
現代は黙読社会になってしまった、という話。

教授によれば・・・
15〜16世紀までの人間は
今我々がやるように
本を黙読することができなかったらしい。

必ず声に出して読みながら
・・・必要に応じて書き写す。

本を読むというのは、そういう行為だった。

しかし・・・
グーテン・ベルグが印刷機を発明し、
書き写す必要がなくなると、
人々は黙々と活字だけを追いだした。
・・・それが黙読社会、ということだ。

見て、言って、書くことによって得ていた
知識や情報は・・・
見るだけでわかるものになった?

いや、書かれている知識や情報は、
・・・さほど変わってはいないだろう。

書き写す必要がなくなったおかけで、
よりたくさんの知識や情報に
触れることはできるようになったが・・・
触れているだけで、ほとんど身に付いていない

・・・にも関わらず、
身に付いたと勘違いしてしまう。

行ったこともない場所を
映像で見ることができるのは
幸せなことに違いないが、
その場に行かないとわからない
暑さ寒さや風の臭い。

そして何よりも・・・
そこまで行き着いたことによる
・・・達成感は何も感じられない。