Episode No.2982(20080319)
錯覚

バッターボックスに立って
一度でもプロの球を受けたら、
絶対に自分はプロにはなれない
・・・そう思うだろう。

かつて或るご年配の知人が、
入院先で金田元投手と知り合いになって、
遊び半分でバッターボックスに立った。
金田元投手の投げるボールに、
かすりでもしたら何かくれると言われて
真剣に望んではみたものの
・・・結果は見えていた。

オリンピックで新体操など見たら、
ひと目で絶対に自分にはできないと、
・・・たいてい誰もが思うだろう。

しかし・・・
ボタン一つで写せるカメラを覗けば、
自分はカメラマンに向いているかも知れない
・・・とか。

人並みに日本語が書けて、
しかも自主的に何か書いてみれば、
小説家になれるかも知れない
・・・とか。

ちょっとカラオケを褒められたら、
歌手ななれるかも
・・・なんて錯覚にとらわれることは
多かれ少なかれ誰にもある。

その誰もがプロになった
・・・という話は、トンと聞かないけれど、ね。

すぐにできることじゃ・・・プロにはなれない
嫌を言うほど、それをやって・・・
それでも続けている人の、
その中でまたに恵まれた人だけが
自分を表現して食っていける。

自分の才能に騙されちゃいけない。

また・・・
自分の才能に騙されるのは
・・・自分だけ。