Episode No.2615(20070108)
食足世平

食足世平・・・しょくそくせへい、と読む。

先週金曜日・・・
2007年1月5日に亡くなった日清食品の創始者、
安藤百福(ももふく) さんが作った言葉だそうだ。

享年96歳。
仕事始めの訓辞を述べた後、
発熱して病院に入り、そのまま亡くなった。
まさに天寿を全うしたとは、
こういう召され方を言うのだろう。

今や世界中で年間857億食も食べられている
即席麺を作ったのが安藤さんは、
世界の食文化に多大な影響を遺した人だ。

ずいぶん昔の話になるが、
日本即席食品工業協会
・・・通称インスタントラーメン協会のPRの仕事に
少しだけ携わっていたことがあって、
安藤百福さんというお名前だけは知っていた。

生まれは台湾。
敗戦で事業の大半は灰塵となり、
飢える人たちを救うために食品事業に着手するも、
その後、懇願されて理事長になった信用組合が倒産。
46歳で全財産を失ったこともあるという。

この人生最大のピンチの中で生まれたのが
世界で初めての即席麺・・・チキンラーメンだった。
無一文になってから2年後の大復活である。

46歳といえば・・・今の私と同じくらいの頃だ。
正確に言えば、今の私の方が1歳半くらいは若い。

たとえ無一文になったとしても・・・
まだまだ逆転のチャンスはあるということだ。

食足世平・・・という言葉は、
食が足りて初めて、世の中が平安になる
・・・という意味合いだが、
安藤さん自身は、この言葉に
食を通じて世の中の役に立つ
・・・という誓いを込めていたという。

つまり・・・
自分のためだけでは、
人は頑張りきれないんだ。きっと。

むろん、自分との約束は、まず必要だけれど、
その約束の内容が
自分のためだけだと結局は守りきれない。
・・・人間の弱さは、そこにある。

しかし・・・
誰かの役に立っている、という存在理由、
そうした居場所を見つけられことが幸せで、
そのために自分の力以上の力を発揮できるのが
・・・人間の強さだろう。

幸せの意味を取り違えて
自分本位でいくと
・・・結局、不幸になってしまうよな。

さて、それじゃあ・・・
カップヌードルでも食って
・・・もう、ひとフンばりするか。