Episode No.2587(20061206)
愚かさを認めよう

ある程度の年齢になってくると、
そこそこの経験や知識が「邪魔」をして、
ついつい自分を賢いと思いこんでしまう。

「天才と狂人は紙一重というが、
 その紙一重の違いから、
 何という大きなへだたりが
 生まれてくることだろう。

 人間の賢さと愚かさについても、
 これと同じことがいえるのではないだろうか」

松下幸之助の言葉は、
・・・短いくても深い。

少しばかり自分が
何かができる人間だとおごった瞬間に、
人並み以下の努力しかしなくなる。

知っているつもりになつていれば
知ろうとしなくなる
・・・たとえ現実が別なところにあっても。

スポーツの世界での動きは、
それが目に見えるために、
ちょっと努力を怠ったら素人にもバレる。

ルールがあるようでない通常の仕事は、
その点非常にルーズで・・・
何となく仕事ができるイメージというものがあると、
それでまかり通ってしまうようなところも
・・・少なくないだろう。

本当に「できる」人は
自分に「できない」ことを知っている人だ。

自分に「できる」ことだけ
やろうとしているのは・・・
謙虚さを装った怠惰なんじゃないか。

松下幸之助の「紙一重」の一説は、
こう締めくくられている。

「だからこの紙一重のところを
 つかむのが大切なのだが、
 これにはただ一つ、
 素直な心になることである。
 素直に見るか見ないか、
 ここに紙一重の鍵がひそんでいる」

愚かさに気づかないことほど
・・・愚かなことはない。

参考文献「道をひらく」松下幸之助=著 PHP=刊