Episode No.1495(20030609):
本来の目的
その昔・・・
パリのルーブル美術館から
あの名画『モナリザ』が
上野の国立美術館にやってきたことがあった。
私が小学生当時の話だから・・・
もう30年くらい前になると思う。
当時は東京に住んでいた私は
“話題”の『モナリザ』を見に
連れて行ってもらった覚えがある。
とにかく人が多かったことと・・・
何より印象深かったのは
『モナリザ』が意外し小さな絵だったことだ。
さて・・・
『モナリザ』の作者と言えば
かの天才ダ・ヴィンチ。
しかし、考えてみると
レオナルド・ダ・ヴィンチはイタリア人。
イタリアで描かれた『モナリザ』が
何故、パリのルーブルにあるのだろう?
『モナリザ』をダ・ヴィンチに描かせたのは
ダ・ヴィンチのパトロンをしていた
フランシスコ・デル・ジョコンドという人物
・・・と言われている。
天才ダ・ヴィンチとて
カスミを食って生きていくわけにはいなかいもの、な。
『モナリザ』のモデルとなったのは・・・
ジョコンドの3人目の妻、リサ。
ようするに、新しいカミさんの肖像を
お抱えの画家に描かせたわけだ。
ところが・・・
絵が完成したのは、発注から4年も経ってからのこと。
その間、ジョコンドは再三にわたり
ダ・ヴィンチに催促を繰り返し・・・
挙げ句、嫌気がさして、
完成した絵を引き取るどころか
製作費の支払いもしなかった。
仕方なく・・・
その絵を誰でもいいから引き取ってくれないかと
ダ・ヴィンチが営業したところ・・・
手をあげたのが、時のフランス国王だったらしい。
世紀の名画として知られる『モナリザ』だが
描かれることになった本来の目的は遂げていない。
芸術家として納得できる仕事も
クライアントに納得してもらえなければ
ビジネスとしては失敗だ。
自分の描きたい絵を
自分の金で仕上げるのなら
何の問題もなかっただろうけど、ね。