Episode No.1115(20020322):自分で歩け

下駄を預ける・・・という言い方があるよね。

ことわざ辞典によると・・・
相手に万事を頼み、その処理を一任すること、とある。

この言葉を使う場面としては・・・
無理を承知で押しつける場合と
相手を信じて任せる場合の二通り。

ようするに・・・
イニシアチブを渡してしまうことに他ならない。

仕事のうえでは、よく使われる言葉だけど
絶対に使ってはいけない場面もある。

それは・・・自分が絶対にやりたい仕事をする時だ。

仕事に限らず、何かを成し遂げたいと思ったら
多かれ少なかれ自分ひとりではできない。
必ず協力者が必要だ。

積極的な協力とまではいかなくても
せめて周囲の承認をもらわないと進まないことだってある。

そんな時・・・
うっかり下駄を預けてしまうと、
物事は思うように進まなくなってしまう。

承認、確認のとり方にもコツがあるんだよね。

「どうしましょう?」と聞いてしまったら
相手の返事があるまで、自分じゃもう動けなくなっちゃう。

絶対進めたいことは
「これでいいですね?」という風に言えるくらい
あらかじめ自分で具体的な案を作っておいて
相手はYes、Noで答えられるようにしておくくらいでないと。

こちらが、いくら礼を尽くしているつもりでも
相手は自分と同じ気持ちで、それを進めてくれるとは限らない。

進め方を誤ると・・・
たとえどんなにいいアイデアであっても
実現すれば、自分だけでなくみんなのためになることだって
進まなくなるのが通例。

誰しも今の生活をいっぱいいっぱいでやってるから
いいことだとわかっても今以上に体を動かせる人は少ないんだ。

だから・・・
自分が絶対にやりたいこと、やらなければならないことは
相手に下駄を預けるような進め方をしていたんじゃダメ。

一番動かしたい人間が
下駄を履いていないで・・・どうやって歩く?

あいにく、この世の中は
素直に、正直にやっているだけで
やりたいように動かせるほど容易くはない。

新しい流れを作るには・・・
今までの流れを受け流しながら溝を掘っていくという
コツがいるんだよ、ね。


参考資料:「ことわざ・故事・俗言辞典」日本語研究会=編 同文書院=刊