Episode No.944(20010904):元祖・生涯教育
自らの足で全国を測量し、初めて正確な日本地図を作製した男。
今日は、その伊能忠敬の死が公表されて、ちょうど180年目にあたる。
文政4=1821年9月4日のことだ。
命日・・・ではなく、死が公表された、というのが少し変わっている。
実際に亡くなったのは、死が公表される3年前の1818年4月13日。
お、4月13日は・・・私の誕生日といっしょだ。
私が生まれたのは、それから140年以上も後の話だけど。
なぜ、伊能忠敬の死は3年もの間、公表されなかったのか。
それは実測による日本地図作製という大事業が完成していなかったためで・・・
忠敬の弟子たちによって、日本地図が完成した時、同時に死が公表されたのだ。
伊能忠敬は、北海道を手始めに16年もの歳月をかけて日本全国を測量している。
事業に成功し、50歳で隠居した忠敬は、江戸で天文と測量を学び・・・
日本実測の旅に出たのは56歳の春。
後世に残る大事業は、いわば伊能忠敬の「老後の楽しみ」だったとも言える。
実際、これだけの旅を伊能忠敬は、誰から依頼されたわけでもなく・・・
ポケットマネーでやり遂げている。
体力と金、そして好奇心と行動力さえあれば・・・
決して若者には負けない。
そのことを伊能忠敬は180年以上も前に実証してみせた。
無論、若く好奇心と行動力に溢れた若者がこの大事業に挑戦していたら
実測日本地図の完成は、もう少し早まったかも知れない。
しかし、現実的には完成に至るまでの経済力が続かなかっただろう。
種子島に鉄砲が伝来した時に・・・
領主が若かったから鉄砲をすぐに分解したという話は前にもしたが
これが領主ではなく、ただの若者だったら、鉄砲を手にすることもなかったはず。
若さは重要・・・だけど、やっぱり若いだけでは役に立たないのも事実。
長生きする人が増えて・・・生涯教育の大切さについて耳にすることは多いけど
時間ができたからって、いきなり勉強しようと思っても無理なんじゃないかな。
だいたい目的意識だって薄らいでしまうだろうし・・・
必要なのは、学ぶことや稼ぐことを楽しむ習慣だと思うな。
若い時から、のね。