Episode No.1029(20011212):今のままでいい?

同年代の奴と比べたら・・・
お世辞にもいいとは言えない年収の男が爽やかにつぶやいた。

「稼ぎは少ないけど
 女房や子供たちと楽しく生きていけたら・・・それでいい」

確かにそれも生き方。
平凡に生きるのだって大変だ。

でも、冷静に判断してみれば
それで満足していられるのは・・・今だけの話だ。

幼い子供は、いつまでも幼い子供のままでいてくれない。
自分や女房の両親も歳をとって、年々弱っていく。

今のままでいい・・・と思っていても
今のままにはいられないのが生きる者の宿命だ。

幸福感を味わうために、時には現状に満足することも大切。
しかし・・・
満足しきったら、あとは坂道を下るように生きていくしかないのも事実。

「参加することに意義があるなんて、冗談じゃねェ。
 じゃあなんで練習するんだ。
 いったん参加したら、今度は勝たなきゃ意味ねェんだ」

やっぱり私には、爽やかを装ったつぶやきより・・・
本田宗一郎の激しく力強い言葉の方が、グッとくるな。

20代は、まだ仕事にも慣れていないし
ようやく自分で社会を歩き出したばかり。

30代になると、そろそろ自分の仕事の仕方が見えてくるし
結婚もあったりと、いよいよ自覚を求められる。

30代後半から、そろそろ40代になると・・・
仕事にも家庭にも慣れきってしまい、ぼちぼち先が見えてくる。

本当は、この時点で先が見えてしまうというのは・・・
仕事の中身や、会社や家庭という組織の問題ではなく
その中心にいる自分の能力の限界が見え始めているだけなんだけどね。

言い訳ばかり上手になって・・・!
楽をすることばかり覚えて・・・!!

さて・・・
本田宗一郎が片腕、藤沢武夫と出逢い、
世界のホンダの第一歩を踏み出したのは・・・40歳だ。

人生が80年あるとして・・・
後半半分を楽しまずに生きられるか?!


参考資料:「本田宗一郎/こうすれば人生はもっと面白くなる!」一ノ瀬遼=著 成美堂出版=刊