でじたけ流 教育論619「IKEA事件」
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20120617

でじたけ流 教育論619

でじたけ流教育論 digitake.com


子供たちが全員大人料金になって、
部活だ、バイトだ、教習所だと、
バラバラに外出するようになってくると…。
逆にカミさんと2人で出かける機会が増えてきたりする。

先日、IKEAに初めて行った

カミさんはもう何度も行ってるらしいが、
新しモノ好きな自分は珍しく一度も足を運んだことがなかった。

新しモノ好きに限って、他の人に先に行かれてしまうと
…案外、興味が失せてしまったりする。

今回はいろいろ探しているものもあったので、とにかく車を走らせた。

買い物の途中で腹が減って、
学食みたいなところでメシを食うことにした。

ローストビーフが旨そうだったので、
すぐそれに決めたが…
ローストビーフを食うからには
ワインを呑まないわけにはいくまい。
…と、いうことで
グラスワインをいきなり2杯とった。

うち1杯をカミさんのトレーに乗せていたら、
小学3年くらいの女の子がよそ見をして近づいてきて、
カミさんのトレーにガン!と当たった。
私は思わず「危ない」と声をかけたが間に合わなかった。

幸いトレーの上のワインは、
ちょっとはねたくらいで倒れはしなかった。

女の子は両親に促されてカミさんに謝っていた。

さて、帰りの運転はカミさんに任せることにして、
ローストビーフをつまみにワインとビールを楽しむ。

こういう時にカミさんが下戸だというのは便利だ。

ビールのおかわりをして、
家具屋にいることも忘れかけた頃、
さっきの女の子が父親と一緒にやってきた。

「もう一度、
 キチンと謝りたいというので…いいですか?」

…と父親がカミさんに言った。

女の子は必死で涙をこらえながら
「ごめんなさい」と言った。
すっかり酔っぱらった私は
「えらいっ!」と言ってやったが、
女の子はぺこりと頭を下げると
一目散で母親の元へ走って行ってしまった。

女の子の後ろ姿を追いながら…想像がふくらんでいく

あっちの一家では、ぶつかった直後、
メシを食いながらママがちょっと厳しい口調で…
「だから、いつも言っているでしょう?!
 美結(仮名)は、
 ちゃんとまわりを見てないから、
 何回もこんなことになるのよ」

…と娘を叱り飛ばしたことだろう。

娘はうつむいたばかりいて食事が進まない。
見かねたパパは…
「まぁ、いいじゃないか。一応謝ったんだし…」
するとママはパパをキッと睨んで、
「一応じゃダメなのよ、一応じゃ。
 貴方がやってることはいつでも一応。
 
一応、結婚して、一応、子供もできて、
 一応、パパになったけど…ただけそれだけ。

 一応、IKEAに来たけど、
 何を買うかも決められやしない」

さすがにパパも少し眉間にしわをよせて反論する。
「そういう言い方はないだろ?
 それでも
一応、幸せなんだから
ほら、また一応」
 パパの一応が口癖であることは、
 とうに知ってるママの意地悪。

そんな両親のやりとりを聞いていた娘が、
とうとう耐えきれなくなって言う。
「…美結、もう一度ちゃんと謝って来る」
その言葉を聞いて、母親らしさを取り戻すママ。
「そうしなさい」

するとママは、もう一度パパの方をキッと見て
「パパ、ついて行ってあげて」

まさかの展開に一瞬息を飲むパパ。
ゆっくり見据える、その視線の先には、
カミさんと…その向かいに
ワインとビールを交互にガバガバ呑んでる
スキンヘッドの俺がいるわけよ。

カタギには見えないなぁ…
へたにもう一度声なんかかけたら、
どんな難癖をつけられるかわからない。

しかし娘の手前、ここで引き下がったら
父親としての威厳は地に落ちてしまう。
…それでなくても低空飛行なのにね。

すくっと立ち上がったパパは、
突然、ママの隣でミルクを飲んでた幼い長男を
お腹にくくりつける。
ママが「何?まだ帰れないわよ」と言うより早く、
「美結、行くぞ」と手を引いて、
スキンヘッドに背後から近づいてゆく。
そーっと、視線に入らないように…。

腹に赤ん坊を抱いていれば、
いくらなんでもまさか手荒な真似はすまい。
長男はいわば防弾チョッキなのだ。

そして、娘は謝って走って行った。
パパも慌てて、その後を追った。

ついに2人とも私とは視線を合わせなかった。

…ま、おかげで
ホームページ・ネタにはなったけど、ね。

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