20090719
でじたけ流 教育論

第468回

門前の小娘


子供たちの夏休みがはじまった。
…早い。もう。
…と感じている親は日本中にいるだろう。

しかし、そんな感覚があろがなかろうが…
4月の後には5月が来て、
5月を終えると6月を経て
7月がやってきたわけで…
何も春休みから、いきなり夏休みになったわけではない。

プロセスを長いと感じるか短いと感じるかは
個人の感覚によるところだけど…プロセスは必ず「ある」のだ。

朝から子供にふりまわされてしまう夏休みを前にして、
カミさんは仲のいいお母さんたちと一緒に
珍しく一泊旅行にでかけた。

平日のことなので、子供たちは当然、学校がある。
晩飯はいつものように多めのカレーが準備された。
が、昼の弁当も必要なのだが…

高1の長男は、
「こういう時くらい学食で食べてみたい」
…と少しばかりの非日常を楽しんでいる様子。

小4の次男は給食だから問題なし。

私も弁当がなければコンビニで賄えるが
…問題は学食もコンビニもない中1の長女

まして、その日の朝は
普段より1時間半は早くでなければならない
部活の朝練がある。

ところが当の本人は
「自分で作る」と平然としていた。

ナマコが岩に張り付いているかの如く、
毎朝、布団にベッタリ張り付いて起きない娘が、
はたして普段より早く起きて弁当など作れるのか?

心配はしてみたものの…
私も私で朝は自信がない。
とりあえず炊飯器だけセットして寝た。

問題の朝…。

娘が次男を起こしている声で目が覚めた。
次男を起こすと娘はすぐさま学校へ。

リビングに降りていくと…
そこには私の分の弁当まで用意されていた。

おまけに長男と私の朝食を指示するメモまで。
まるでカミさんがやったかのようだ。

まぁ、これが毎日となると、
ここまで完璧に続けられるのかとは思うが、
それでも子供の成長を感じた。

こと、こうした日常的な仕事に関しては、
考えばかりが優先して、
なかなか行動に移れない男に比べて、
女の方が順応性は高いんじゃないかな、と思う。

そもそも考えなければできないというのは
半人前だと思う。
昔、運転免許を取り立てで、
考えてからブレーキを踏もうとして…
そのまま街路樹に突っ込んだ奴がいたけど、ね。

忙しい朝も…いちいち考えていたのでは間に合わない。

考えずにやるためには訓練が必要だが、
何をどう訓練して
できるようにしなければならないのかを知るには、
普段できている人の行動をキチンと見て
記憶に刻んでおくしかないだろう。

親は子供の面倒を見るだけでなく、
人の見本として、つねに子供に見られている。

門前の小僧は、習わぬ経を読むようになれるが、
それも師匠なり、親なりが
経を知らなければあり得ない話だし、な。


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