Presented by digitake.com

 

Fictional Talk No.046(000507)
架空対談 
宝とは

M「すばらしい出来ですなぁ」

P「そうかね? でも、まだまだ・・・」

M「いやいや、たいしたもんだ」

P「あ、お帰りですか?」

M「いや、もうちょっと近づいてジックリ拝見しようと・・・」

P「ああ、そうですか。・・・狭いですから気をつけてくださいよ」

M「本当に、どこもかしこも作品だらけで」

P「もう面倒だから、また新しいアトリエに移ろうと思っているところで」

M「そりゃ、金がかかりますな」

P「金? かかるでしょうな。ま、構わん。一枚売ればいいんですから。一枚売って100枚描ける場所に移る・・・その繰り返しで」

M「ほぉ〜。これなんぞ、おいくらくらいします?」

P「さぁ〜、わかりませんな。ほしい人に聞いてください」

M「そりゃ、いけません。物には定価というものが必要ですわ」

P「しかし、これは量産品とは違う」

M「私が商売で成功したのは、誰もが考えつかなかった定価をつくったからです」

P「別に商売で成功しようなんて思っとらんし」

M「でも、もっと広いアトリエは必要でしょ?」

P「いや、アトリエが先じゃない。作品に向かう気持ちが先だ」

M「そんなこと言っても・・・あ! 何です? これは!!」

P「ん?・・・お、放し飼いにしていたみみずく・・・」

M「みみずく?」

P「こんなところで死んでいたとは」

M「・・・・」


M三井高利(越後屋を開いた江戸時代の豪商)1622-1694 享年72歳
Pパプロ・ピカソ(芸術家)1881-1973 享年92歳


参考資料:「日本の歴史人物事典」小学館=刊 ほか

[ 架空対談 ]