THE THEATER OF DIGITAKE |
宮田浩一郎■長塚 京三
宮田裕美子■田中 裕子 宮田 良樹■松田 龍平 |
木下 昭夫■にしきのあきら
安藤セイコ■安西ひろこ 三村しより■石田ゆり子 以上、作者による勝手な配役 |
■初めてのストリップ 宮田浩一郎が初めてストリップ小屋をのぞいたのは19歳の時だった。 初めて・・・とは言っても、それが今のところ最期の経験でもある。 東京の大学にパスして単身上京はしたものの、宮田が通う大学のキャンパスは都心からはおよそかけ離れた郊外にあり、まわりは田んぼだらけ。 キャンパスがこの地へ越してきて間もないことから、周囲にはまだ学生向けのアパートも少ない。 19歳になったばかりの宮田はキャンパスの南の端に建てられた学生寮にいた。 宮田がいた大学は一応男女共学ではあったが、実体は1学年500名のうち女子学生は5〜6人程度でほぼ男子校状態。 まして学生寮の中は、汗くさい若い男たちの巣窟と化していた。 寮の仲間たち数人と安酒をあおった勢いで、ストリップ小屋の前に立った宮田は緊張を隠せない。 当時の宮田には女性体験どころか、女性のアソコがどうなっているのかさえ知らないウブな青年だった。 決して興味がなかったわけではない。心身共にきわめて健康ではあったが・・・きっかけがなかったのだ。 地元の友達は、みな似たり寄ったりの境遇にいて、とりたててあわてることもなかったが、全国から見知らぬ者同士が集まったこの学生寮の中には、かなりのツワ者もいる。 いきなりトルコ風呂(現ソープランド)というのも抵抗のあった宮田は、とりあえずストリップ小屋なら・・・ということで、ここまでついて来た。 これ以上、抵抗するのも今後、仲間との学生寮生活に支障をきたすと思ったし・・・やっぱり、のぞいてみたい気もあった。 薄暗い入口をドキドキしながらぬけると、いきなり目の前がパッと明るくなった。 スポットライトに照らし出された畳3枚分ほどの小さな赤いビニール貼りのステージからは、会場の真ん中に向かって長い通路がのびている。 通路の先には直径2mほどの丸いステージがあった。 目が慣れてくると客席の様子もよくわかる。狭い会場だ。 中央の丸いステージのまわりにいる客はかなりの常連らしく、誰一人として背もたれに体をつけている者はいない。みんな前のめりの姿勢をとっている。 前の方に進もうとうながす仲間たちをうけながして、宮田は最後列に立った。 最後列・・・とは言っても中央のステージからは3mほどしか離れていない。 初めてだし・・・ここで充分だと思った。 会場に流れている曲調が変わった。 それに合わせるように2本のスポットライトがグルグルと回転しはじめる。 いよいよ、踊り子の登場だ。 |
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