THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行7 13/14


■妻の奇行

パジャマ姿でダイニングに戻った宮田はテーブルに用意された夕食をとりはじめた。
妻は流しに向かって黙ってもくもくと洗い物をしている。

べったら漬けの先には、さっきの水晶玉が置いてある。
べったら漬けをひと切れ口に放り込むと、箸を置いた宮田は右手で水晶玉をつかんだ。

「何だ? これ」

振り返った妻は、あわてて宮田の手から水晶玉を取り上げると突然、烈火のごとく怒った。

「さわらないでください!」

その姿に唖然としてしまった宮田は、再び静かに尋ねた。

「何なんだよ? それ」

水晶玉を抱えるようにして立つ妻は、真剣な表情で答えた。

「私たち家族を守ってくれるんです」

その言葉を聞いた宮田は、とれあえず口に入ったべったら漬けを噛み砕いて飲み込んだ。
ボリ、ボリ、ボリ・・・ゴックン!

「まぁ、いいけど・・・買ったのか?」

と言いながら宮田は箸を持ち直した。

「ええ、買いました」

「ふ〜ん、いくらだった?」

「30万」

それを聞いたとたん、宮田は口元まで運んだゴハンを箸からこぼれ落とした。


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