THE THEATER OF DIGITAKE 初めての不倫旅行7 4/14 |
■主婦の気晴らし 「それじゃ、お先に・・・」 宮田の妻が立ち去ろうとすると、カラスよけのネットをかけ終えた隣の主婦が駆け寄って来た。 「そう、そう、宮田さん。アナタ、今日お時間なぁい?」 時間はあった・・・。しかし気力は・・・ない。 何かの誘いだとしたら断ろう、そう思ったところへ隣の主婦は容赦なく話を続ける。 「いえね、今度、駅前にデパートがオープンするじゃない? 本当のオープンは今週末なんだけど、ホラ、私、あのデパートのゴールドカード持ってるもんだから、プレオープンの招待状もらっちゃって・・・。オープン直後に行くと混むじゃない? よかったら、今日いっしょに行ってみない?」 駅前にできるデパートに興味はあった。とくに何か買いたい物があるわけではないけれど・・・。 確かにオープン直後は、ものすごく混むだろう。招待客だけの日に行けるのなら・・・気晴らしに行ってみたい感じもした。 ただ・・・。 「ごいっしょさせていただいて、いいんですか? 私、ゴールドカードどころか普通のカードも持ってないんですけど」 「いいのよ、そんなの。招待のハガキ持って行けば、いいんだから。・・・じゃ、あとでね」 そう言って隣の主婦は家へ入って行った。 どうせ家にいても、思い詰めてしまうだけ・・・。それなら、いっそ外出した方がいい。 隣の奥さんは話好きで、ちょっとうるさいくらいだし、外で時間をつぶしたからといって何の解決にもならないけれど・・・。これ以上、沈み込むのもイヤだ。 宮田の妻は、よく顔を洗ってから、再び鏡台の前に腰をすえると、目元を中心にして念入りな化粧をはじめた。 |