THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行6 11/12


■妻・裕美子の度胸

「答えられないのかよ! 課長ぉ!!」

なおも宮田に迫る柳。
そのやりとりを見ていた妻は急にバタバタと一度奥へ入ったかと思うと、再び玄関に戻ってきた。

パシャッ!!

妻が手にしたコップの水が柳の顔面をとらえた。

我に返った柳は、宮田の妻を見ると

「申し訳ありませんでした!」

と言ってオモテへ飛び出して行った。
「すいません、すいません」と言いながら、その後を追う岡崎。

2人を追ってオモテへ出た宮田は、岡崎に言った。

「とにかく、彼を家まで送り届けてくれ」

「わかりました。本当に申し訳ありません」

向こうの電柱では柳が、ひとりで吐いている。

宮田はさらに岡崎に言った。

「タクシー代、あるか?」

「あります・・・4,000円使ってませんから、あります」

ひたすら身をかがめた岡崎は、宮田に一礼すると柳の背中をさすりに向かった。
柳は、その手をはらいりけるようにして、トボトボと歩きはじめた。


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