THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行6 10/12


■柳の逆襲

宮田が自宅に近づくと、玄関が開いて光がもれているのが見えた。
今時分、誰かお客さんかな・・・?

さらに近づくと玄関先から、男の叫び声が聞こえる。
何があったんだ?

足を早めて近づいていくと、その足音に気づいた男が1人飛び出してきて、宮田に駆け寄った。
岡崎だった。

「すいません課長!! 何度も止めたんですが」

「岡崎クン、何ごとかね?」

玄関をのぞき込むと、ベロベロに酔っぱらった柳がスーツ姿のまま座り込んでいた。
それを困った顔で見つめる妻。

「あ! あなた」

「柳クン? おい! 柳クン!! どうしたんだ?」

グラグラした首を後に向けた柳の目は完全に座っている。

「これは課長・・・ご帰還ですかぁ・・・ようやく・・・やっぱりな・・・やっぱりウチには戻ってなかったんですね、課長ぉ!」

そう言って立ち上がろうとした柳は大きくフラついた。あわてて、それを支える岡崎。

「岡崎クン!! どうしたんだ彼は? 説明したまえ!!」

やや威厳をもって宮田は叫んだ。すると、グッタリ首を下げていた柳がクワッと宮田を見て迫った。

「そっちこそ説明してくれよ、課長! 三村クンと・・・しよりちゃんと何してたんだよ〜!!」

のけぞった宮田の背筋に冷たい緊張が走った。


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