THE THEATER OF DIGITAKE |
宮田浩一郎■長塚 京三
宮田裕美子■田中 裕子 三村しより■石田ゆり子 |
宮田良樹■??? 柳 俊雄■柳葉敏郎 岡崎■イジリー岡田 OL3人組■パフィー&山口もえ 以上、作者による勝手な配役 |
■犯人・宮田 宮田浩一郎の目の前には、ヨレヨレのトレンチコートを着た男が立っている。 男は上着のポケットから取り出した小さな手帳を開くと、モジャモジャ頭を片手でかきむしりながら言った。 「・・・おかしいなぁ、宮田さん。アンタ、確か携帯電話はお持ちじゃないとおっしゃいましたよね?」 「ああ、持っていないとも」 宮田は両手を後ろにまわしたまま、胸をはってそう答える。 トレンチコートの男は、髪をかき上げた手をそのまま宙に止めた。 指の間にはさまれた葉巻からは紫の煙がひと筋立ち上っている。 「アンタの部下の三村しよりさん・・・ご存知ですね? その三村さんの手帳には確かにアンタの名前と電話番号が書いてある。・・・090。090ではじまる番号っていうのは携帯電話じゃないですか?」 宮田は軽くつま先立ちすると、すまして答えた。 「知らんね。誰か別の人間じゃないのかね」 「・・・・」 葉巻を持った片手を宙にかざしたまま、男はクルリと後を向くと、ようやく葉巻をにがい顔つきでくわえた。 目の前にある電話の受話器をサッと肩にかけると、もう一度丹念にメモ帳を開き直してダイアルをまわしはじめる。 宮田の表情にかげりが見えた。 次の瞬間、宮田の上着の内ポケットが大きく揺れ始める。 宮田に背中を向けたままの男は、受話器を握りしめ、天井をながめた。 上着のポケットから、ゆっくりと携帯電話を取り出す宮田の右手は、バイブレーションコールの振動以上に、かすかに振るえていた。 「・・・宮田だ」 男はトレンチコートをひるがえらせながら振り返ると、宮田の顔をジッと見て言った。 「どうも・・・コロンボです。・・・続けますか?」 力いっぱい携帯電話を切った宮田は、やや錯乱した表情で警部に食い下がった。 「いや、いい。・・・だ、だ、だからどうした? 何がいけないんだ?! エ! 別に何でもないことじゃないか、携帯電話くらい!!」 「まぁ、落ち着いてください。・・・いや、うちのカミさんもね、アタシに携帯電話を持て持てってうるさいんですよ。あなたいつもどこにいるのかわからないから・・・ってね?」 宮田の肩は、まだ大きく上下している。 「宮田さん? アンタも奥さんに言われて携帯電話を?」 「!」 「奥さんは、ご存知なんで? どうなんです? 正直に聞かせてもらえませんか?」 宮田は力いっぱい両目を閉じた。 |
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