THE THEATER OF DIGITAKE 初めての不倫旅行4 6/14 |
■主婦の悩み さぁ、どうしよう? 妻の目の前で携帯電話を購入していいものかどうか・・・? 良樹の話でうつむいたままでいる助手席の妻に、宮田は聞いた。 「そんなに心配なら、車で待ってるか? すぐ買って戻ってくるから」 ここまで連れて来てヘンな質問だとは思いつつ、妻の様子をうかがう。 「もちろん行きますよ。どんなトースターか見たいし」 「おお、そうそう、トースターだったな」 2人は車を降りて店内へと入っていった。 宮田は店内に一歩踏み入れると同時に、顔は正面を向いたまま、目だけグルグルと店内を見渡した。 お目当ての携帯電話コーナーはレジのすぐわきにあった。 見て見ぬふりをしながら奥へ進んでいこうとする宮田を妻が呼び止めた。 「ここにあるわよ。トースター」 トースターは入口のすぐわきの特売品コーナーにあった。 「1,980円・・・どうかしらねぇ・・・これ。すぐ壊れちゃうんじゃないかしら」 フタを開けたり閉めたりしながら妻がつぶやいた。 宮田は、ろくに見もせずに言った。 「せっかく来たんだから、念のため、奥にあるヤツも見た方がいいんじゃないか?」 「そうね」 妻は奥のコーナーに向かった。 宮田は妻の背中を見ると、すかさず携帯電話コーナーの前に立った。 内心、ドキドキしながら、そのうちの一台に手をのばそうとする・・・その時、 「ねぇ、ねぇ」 奥から妻の呼ぶ声がした。 宮田は携帯電話コーナーに後ろ髪を引かれながら、仕方なく妻の元へ歩いた。 妻は2,980円のトースターの前に立っていた。 「見た目は、あんまりかわらないわね。ねぇ、どう思う」 「機能は変わらなそうだし、壊れなさそうな方がいいんでしゃないか?」 「そうねぇ・・・。もう一度、1,980円の方、見てくるわ」 妻が再び入口付近に戻って行ったのを確認して、宮田は後を追ってゆっくり歩きながら・・・レジのわきで足を止めた。 「携帯電話ですか? お安くなってますよ」 Yシャツの上に青いハッピを着た店員が宮田に話しかけてきた。 |