THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行3 8/9


■良樹のガールフレンド

妻の話はこうだ。

良樹の部屋を掃除している時に、例のガールフレンドが忘れていったらしい携帯電話を見つけた。
ちょうど彼女の友達から携帯に電話があって、事情を話し、駅前でその友達に携帯電話を返してもらうように頼んだ。

「で、どんな子だった?」

「知らないわよ。私が会ったのはその友達だったんですから。・・・高校生らしいけど」

「・・・年上か・・・。で、今の電話は?」

「その本人。・・・携帯電話を届けてくれてありがとうございますって・・・」

「フン、なかなか律儀じゃないか」

「良樹にかわりましょうかって言ったら、試験前だろうからいいって・・・」

「フーン」

宮田は風呂につかった。
もう、すっかり酒はぬけている。

木下と話した中学時代の思い出・・・。
そして年上の彼女・・・自分にも覚えないわけではない。

最も自分の時には、年上の人に憧れていただけで、自分の部屋に連れてくることなど、とてもできなかった。
そう考えると息子の代になって、宮田家も少しは進化したか・・・。

それにしても今は高校生でも携帯電話も持つ時代になってるんだなぁ・・・。

やっぱり自分もほしい。
そりゃあ内勤の仕事をしている自分にとっては、仕事上は不必要かもしれない。
だが、あれば何かと便利・・・なハズだ。

ダンドリーの血が騒いだ。

どこで、どういう手続きをすれば携帯電話を手に入れることができるのか?
月々の支払いは、どの口座から引き落としさせようか?
やはり、念のため、妻が管理している通帳からの引き落としはやめておいた方がいいかもしれない。
あくまでも念のため・・・だが。


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