THE THEATER OF DIGITAKE |
宮田浩一郎■長塚 京三
宮田裕美子■田中 裕子 三村しより■石田ゆり子
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宮田良樹■??? 柳 俊雄■柳葉敏郎 専 務■小林桂樹 外 国 人■ビル・ゲイツ OL3人組■パフィー&山口もえ 木下の愛人■安西ひろこ 以上、作者による勝手な配役 |
■月曜の朝 宮田浩一郎が勤める商社は臨海副都心にある。 社屋が移ってきてから2年ほどが経つ。 今日も朝のエレベータは、すし詰め状態だ。 次から次へと数字が点滅していく階数を示すランプを上目づかいに見ている宮田の耳に女性社員のヒソヒソ声が聞こえてきた。 「宮田課長よ。そうよ」 「エーッ、どうして眼鏡かえたのかしら?」 土曜日の三村とのドライブで眼鏡を落とした宮田は、仕方なくベッコウの眼鏡をかけてきていた。 「やっぱり変わるモノね〜」 「・・・愛人なんか持つとね〜」 聞こえぬふりをしていた宮田は一瞬、グラッとした。・・・高速エレベータのせいではない。 ドアが開く。押し出される宮田を周囲の視線がするどく刺した。 「わっ!!」 と思わず声を上げた宮田を車中のみんなが見た。 気がつけば、そこは臨海副都心に向かうモノレール"ゆりかもめ"の中だ。 珍しく座席に腰を下ろせたのが災いした。 ここで眠ってしまうことなど、まずないのに・・・。夕べは確かに熟睡できていない宮田だった。 まさか正夢になりはしないかと、内心ビクビクしながらエレベータに乗る。 そして自分の席へ。 いつもと変わらない社内の景色が、宮田には妙に新鮮に思えていた。 宮田の視線は、自然と三村しよりを捜しはじめた。 始業10分前。いつもなら、もう自分の席についているはずだ。 普段より2分ほど遅れて、三村は席についた。早速ファイルを開いて仕事をはじめたようだ。 ホッとした宮田が、しばし見るともなく彼女の方へ視線を送っていると、男性社員の声がした。 「宮田課長」 「な、なんだ。ああ、おはよう」 宮田は少しばかり驚いて、眼鏡をズリ上げた。 いかん・・・ベッコウ眼鏡のことを追求されるかもしれん・・・何て言おう・・・。 「課長。先週発注した例の資材の件なんですが・・・」 男性社員は、マジマジと宮田の顔を見たが、とくに何も言わず淡々と仕事の話を続けた。 自分が眼鏡をかえたことなど、案外誰も気にしていない・・・。 そう感じた宮田は安堵感とともに、ちょっとだけ寂しさを感じなくもなかった。 |
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