THE THEATER OF DIGITAKE
初めての不旅行2 8/8


■夫婦の寝室

妻は背中を向けたまま話を続ける。

「・・・女の人が来ていたみたいなんです、良樹の部屋に」

宮田はパッチリと目を開いて上半身を起こした。

「何だって?」

「さっき、あの子の部屋にあった灰皿を捨てた時に気づいたんですけど・・・。吸い殻に口紅の跡が」

「じゃ、じゃあ何か、夕べ良樹の部屋に女の子が泊まったって言うのか?!」

妻も上半身を起こして言った。

「そんなことわかりませんよ。夕べは私だっていなかったんですから」

宮田は妻の顔をじっと見た。そして静かな口調で言った。

「それは、そうだ。それは・・・。しかし・・・。う〜ん」

宮田は再び横になった。
妻も同じく横になった。

やがて、宮田は言った。

「何だか・・・大変な思いさせちゃったね。急に出かけさせたりしたもんだから・・・」

布団にかくれてニコリとしながら妻は答えた。

「・・・楽しかったですよ」

その言葉を聞いて夫も少しは、さっきまでの緊張がとけくるような気がした。

「でも・・・」

妻の言葉は続いた。

「私たち・・・今は息子がいるんですね」

宮田に再び、身の引き締まるような感覚がおそってきた。
同時にその緊張は括約筋に伝わり・・・

プ〜!

ガスを絞り出してしまった。
宮田は静かに言った。

「・・・ゴメン」

・・・be continue.

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