THE THEATER OF DIGITAKE
車掌熱唱 7/8


■スペシャルルーム

「ごらんのように満席ですので・・・」

田所は小声でそう言った。
大男は期待できるほど話のわかる男・・・ではなかった。

「だから、グリーン券買って入ってきてんだよ! 座らせろよ!!」

「そんなアナタ・・・」

大男は、ちょっとニヤついた顔で言った。

「さっき乗務員室があるって言ったろ?! そこでいいから早く案内しな!!」

田所が「困ります」と言いかけたところで大男はサッサと女の元へ歩いて言ってしまった。

「オイ! むこうに個室があるからよ、そこに座れるぜ」

「キャー、さすが、アンタ!!」

これ以上、なんくせをつけられてはたまらない。
仕方なく、田所は大男たちといっしょに、グリーン車の客席を後にした。

乗務員室をドアを開くなり、女が言った。

「わー、何コレ。狭いじゃん」

「普通は絶対にお入れすることはできないんですからね」

そういう田所を押しのけて、大男は乗務員室の椅子にドッカリと腰を下ろすと

「まぁ、しょうがあんめえ」

と言いながつつ、女に入るよう、うながした。

「じゃあアタシ、ヒザの上に座っちゃおー」

女は大男のヒザに丸い尻を乗せた。
大男はニヤつきながら田所を見ると「じゃあな」と言ってピシャリとドアを閉じた。


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