THE THEATER OF DIGITAKE |
作者による勝手な配役
美穂■20歳頃の菅野美穂 店長■佐藤B作 客■宅 八郎 オバさん(客)■野村沙千代 |
■美穂の夢 その日、店長は開店前の朝礼で、みんなを前にこう言った。 「みなさん! お願いしますよ〜、ホントにィ!! 商売というのは、売ってナンボなんですから〜」 店長は身をよじって、私たちひとり一人の顔をのぞき込んだ。涙目だった。どうも今月の成績いかんでは店長の座が危ないらしい。 私は神林美穂。19歳。短大生だ。 子供好きで、私の人生の計画からすれば、もう今の歳には最初の子供を産んでいるはずだった。 でも女の子も短大くらいは出ていないと・・・と言われるがまま進学した。 第一、適当な相手もいないし・・・。 でも夢はある。保育士の資格をとって、保母さんになろうと思う。 本当は保育園でバイトをしたかったんだけれど、今は少子化の時代で幼稚園や保育園では地域の子供をひとりでも多く自分のところへ入れようと競争が激しい。 保母さんの数が余ることはあってもバイトなど雇ってくれるところは、まずない。 少しでも子供に接することができるだろう・・・という希望をもって、このオモチャ屋さんでバイトをはじめた。 しかし、その希望も店長の涙目ですっかりうち崩されてしまった感じ。 同じオモチャ屋さんでも個人商店ならいざ知らず、大勢のバイト要員を必要とする大手のチェーン店では、商売第一主義で、とても子供たちとのふれあいどころではない。 ほとんどのバイトの同僚は、いかに店長が涙目になろうとも、決められた時間、その場所にいさえすればお金がもらえる・・・とだけ思っていることだろう。 控え室から出る時、何人かはもう大あくびをしていたもの。 |
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