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狭苦しい住宅街ではありやしたが、幸い家々はあっしをよけて建てられていたモンで、あっしの足下だけは、ちょっとした空間があったんで。 そういう場所は近所の鼻タレどもにとっては恰好の遊び場になったモンです。 女の子たちは可愛いモンでね。 あっしの足の下の方にゴムなんかゆわいつけて、かわるがわる飛んでみたり、あっしが両の手伸ばしたその下が、ちょうどイイあんばいに涼しいモンで、ゴザなんか広げてママゴトしたりしてたな。 時々、あっしの手の上から芋虫なんかが落っこちて、ずい分驚かしちまったりしたこともあったが、ありゃああっしが悪いワケじゃあねぇんで・・・。 問題は男の悪ガキどもだ。 競ってあっしによじ登りやがって、ずい分枝も折られたモンだ。 登るだけならまだしも、どこまで高く登れたかって証拠に幹にナイフでしるしを刻みやがった。 「いてぇな、こん畜生!」って怒鳴りつけたくなったことは何度もありやしたが・・・そうはいかねぇしね。 だいたい、あんなナイフ持って木登りなんかして、万が一、芋虫みたいに落っこちたら尻もちだけじゃすまねぇ。 そりゃあヒヤヒヤしたモンだ。 幸いそういうケガをする奴は、ひとりもいなかったけどね。 |