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第3回■ノラの家 1/5

今度も3匹の元気な子が産まれた。

安堵感と疲労感の中にまどろむ母犬は、自分のお腹のあたりにかわるがわる頭を突っ込んできては乳をさがす子供たちをペロペロなめながら思った。

「ああ、いつまでこの子たちといっしょにいられるんだろう?」

最初の出産は2年ほど前。
平和な日々が続いていたのは、生後ひと月くらいの話。

生後40日ほどたったある日、飼い主が見知らぬ人間を連れて来た時には

「きっと、私の子供たちを自慢するためだわ」

と思ったが、その見知らぬ人間は、自分の赤ん坊を抱き上げたかと思うと、二度と自分の元に返してはくれなかった。

そんなことが、3日おきくらいに続いて・・・とうとう10日目には赤ん坊は一匹もいなくなってしまった。
あの時には、いつも自分の可愛がってくれている飼い主の姿が悪魔のようにも思えた。

「また同じ思いを今度もすることになるんだろうか・・・」

母犬は子供たちの方を見るために持ち上げていた首を大きくのばして、その場に横たわると、ジッと目を閉じた。

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