第1回■ピッコ朗の初恋 3/3
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こんな日々が、何日か続いていった。

10日ほどたったある日。
意を決したピッコ朗は、大八車にありっだけの楽器と小さな舟を積み込んで、少女が現れる時刻より、少し早めに川べりに着くと、川を渡った。

少女は、その日も規則正しく、その場所へ現れた。

ピッコ朗は、ここぞとばかり笛やら太鼓やらを鳴らし始める。

しばらくは、いつものように地面を見つめていた少女も、さすがに無視できず、初めてピッコ朗の顔をジッと見た。

とうとう自分の方を向かせることができた! さぁここからが本当の腕の見せどころだ・・・とピッコ朗は思ったが、少女と目があったとたん、顔はこわばり指は自由にならない。

仕方なく笛を持つ手を下ろしたピッコ朗は少女に向かって言った。

「な、なに、見てんだよ?」

少女は見透かしたように答えた。

「見てほしかったんじゃないの?」

笛をにぎるピッコ朗の手に思わず力がはいった。

「おまえ、耳が聞こえないのかと・・・思ってよ」

少女は、えくぼを見せて言った。

「聞こえていたわ、最初から・・・。でも声をかけてくれなかったから」

ピッコ朗の大きなため息が、カマイオの谷にこだました。

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