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Episode No.484(000316):人生、わらしべ長者

「不運なら、運不運を忘れるほど仕事に熱中してみよ」

京セラの名誉会長、稲森和夫の言葉だ。

もともと医者を志していた稲森は、医学部の受験に失敗。
浪人が許される経済環境になかったので仕方なく就職・・・しかし教授に太鼓判を押された希望の一流企業にも入ることはできなかった。

ようやく入ることができた会社は、いつ潰れてもおかしくないような状態。
同期入社の仲間が次々と辞めていく中、稲森はもくもくと研究開発に打ち込んだ。

そこでニューセラミックスの開発に成功したのを足がかりとして、今日の京セラの基盤を築く。

いつの時代にもそうだが・・・。
自分に何の責任もない若い学生の頃には、いろんな理想を掲げるものの・・・。
いざ社会に出る時期になると急に後込みしてしまう人は少なくない。

そりゃあ、生まれて初めて未体験ゾーンに突入するワケだから・・・緊張するのはわかる。

しかし「もう終身雇用の時代じゃないよ」なんて口にしていたわりには「できるだけ安定した職業」を懸命に探す姿は、正直言って何とも滑稽だ。

もちろん安易に妥協すべきではない・・・とも思うけれど。
どこかに入れれば、そこからチャンスが開けていくわけで、たとえどんな仕事場であっても人生のワンステップだと考えられれば文句はないはず。

問題は、どんな職場でも仕事に就いてから妥協するか、しないか・・・だろう。

「突破力を身につけるには、得意分野を掘り下げなくてはならない」

という富士通名誉会長、山本卓眞の言葉も稲森和夫の考えに通じるところがある。
さらにイーストマン・コダックやIBMの役員などを経て情報サービスのネスビッツ・グループを作ったジョン・ネスビッツ会長も・・・

「我々は平均化によってすべての知性を失う」と言っているしね。

何かを懸命にやってみると初めて

「本は最初から読みはじめるが、ビジネスは逆だ。最後からはじめて、そこに達するためにしなければならないことをする」
ハロルド・ジェニーン(ITT元会長兼CEO)

「デメリットのためところにビジネスのチャンスがある」
小倉昌男(ヤマト運輸元会長)

「社会に貢献する仕事をすれば、利益は自然についてくる」
櫻田慧(モスバーガー創業者)

「商売人にとって重要なことは機敏であることだ」
伊藤忠兵衛(伊藤忠商事創業者)

・・・という言葉が実感としてわかってくるモノだと思う。

みんな業種もバラバラだけど・・・根底にあるモノは同じ。
しかも、誰一人として最初からそういう仕事をしていたワケではない。

つまり、とっかかりは何でもいいんだ。
まずは
言い訳せずに・・・初めてみることが大事だよね。


参考資料:「20世紀名言集〜大経営者篇」A級企業研究所=編 情報センター出版局=刊

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