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Episode No.428(000110):ケムにまかれた新技術

コークス・・・って、何か懐かしい響きじゃない?!

20代以下のお若い読者の方は、ひょっとしたら何のコトだかわからないかも知れないけれど、30代後半から上の方なら覚えがあるでしょ?

石炭を乾留して作った軽石みたいな黒いヤツ・・・私も小学校時代には教室のストーブ燃料はコークスだった。
そういえば、コークスってドイツ語なんだってね。

今からちょうど137年前の今日、1863年1月10日。
この日、世界最初の地下鉄がロンドンで開通した。

アメリカでは、
リンカーン大統領が奴隷解放宣言令に署名した年。
一方、日本では同じ年に新撰組が結成されている。
何だか日本だけ前近代的だなぁ・・・。

その世界初の地下鉄の燃料が・・・なんと、コークスだった。

当時は、まだ蒸気機関が全盛の時代。
ロンドンの街にも蒸気自動車があふれ、交通渋滞が深刻化してきていた。

そこで登場したのが踏み切りを作る必要もなく、かつ騒音公害も少ない地下鉄というワケ。

最も地下鉄とは言っても、現在のように地中の奥深くにトンネルを掘る技術はなかったから、地面に大きな溝を掘って、そこにフタをするという方式。
蒸気機関車が客車を引っ張るため、煙をにがす隙間が所々に空けられていた。

燃料にコークスが使われたのは、比較的、煙が少ないコトから・・・だったらしいが、それでも地下鉄トンネル内は、相当な煙が充満していたコトだろう。

開通したのは、パディントンからファリンドンまでの約5キロ半。
黒煙の中をつき進む世界初の地下鉄の客車内には、次のような注意書きが貼られていた。

NO SMOKING!


参考資料:「歴史新聞」歴史新聞編纂委員会=編 日本文芸社=刊
     「世界史おもしろこぼれ話」石井武夫=著 三笠書房=刊

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